バンドマンの心が死ぬ時。

2020年 4月30日


ライブハウスは、登記された場所で経営を行う営利目的のスペースだ。

 

持ちビルでなければ毎月賃料が発生し、合わせてスタッフの賃金の支払いがある。

 

それを支払える見込みが立たなければ、閉店といった選択をせざるを得ない。

 

 

渋谷のVUENOSは自分にとっても思い出深い場所、しかし感傷に浸ってる時間すらない。

 

Asia本体を守るための経営判断、そこに感情を持ち込めば、その歩みすら遅くなる。今までなかった業界全体の苦しい状況だ。

 

場所なんてまた落ち着いたらどこかで見つければいいけど、件のライブハウスやクラブで働いているスタッフがいて、生活がある。

 

補償や対応が間に合わなかったこと、今はこれを明確に心にメモしておこう。その上で経営判断を行ったAsia系列に敬意を持とう。ドライに感じるかもしれないけど、ほんとにもう時間がない。

 

 

ライブハウスは、経営ができなくなれば閉める。望んではいないけど、その結末は存在する。

 

バンドやアーティストはどうだろう?

 

なんの資格も登録も必要なく、名乗った日からなれるもの。

 

名前に費用もかからなければ、家賃もない。

必要なのは「続けていく」って心だけ。

 

 

その上で、この先どれくらいのバンドやアーティストが活動を辞めてしまうだろう。

 

極論を言えば、ホームレスになってもバンドは続けれるし、事実そうゆう人間もいる。

 

世の中の変化で辞めるなら、元々なにか理由を探して辞めるやつなのかもしれない。

 

しかし今回のコロナのスピードと閉塞感は、これまで体験してきた物とは別だと感じて欲しい。  

 

心が倒れたわけではなく、一時的に締め出されただけだと知って欲しい。

 

 

たしかに未来は見えない。しかしそれはみんな同じ、でかいアーティストも結成したてのバンドでも同じように見えていないのだ。

 

言ってしまえば、同じスタートラインに並んでるチャンスを、閉塞感なんて目に見えないもので見逃すべきではない。

 

有名であるよりも、無名であることが有利になることだって山ほどある。

 

俺が例えば紅白に出てるような立場なら、「心配してます」って言うだけで終わるだろう。この意味はわかるよね?

 

 

金もない、夢もない。ギターを担いで電車に乗れば非難され、ライブをすれば近所から張り紙をされる。 

 

 

バカバカしくて、狂ってる世の中だ。

 

 

今、息苦しいのは、元々あった形に合わせようとしてるからだ。

 

ライブハウスを救済するための手段として、名前のあるアーティストが集まり、行動をしている。

 

とても素晴らしいことだと思う。

 

それが光だとすると、必ず影が生まれる。

 

自分たちは何もできないって無力感を持った人が必ず現れる。

 

実は俺もその中のひとりだ。

 

しかし、夢の形を誰かに作ってもらおう、なんてのがそもそも間違いだ。

 

自分の夢の形は、自分で作り、自分で終わらせるべきだ。

 

今、バンドや活動を辞めようと思ってる人がいたら考えてみて欲しい。

 

それが自分の心がほんとに死んだのか、それとも締め出されているだけなのか。

 

 

やれることはまだまだある。

 

もう今までやってきた常識なんてものは潰えたんだから、その枠から出てしまっていい。

 

たくさんの情報に翻弄されて、いつの間にか自分の心の在り方を他人に委ねてはいないだろうか?

 

夢の形は自分で作り、自分で終わらそう。

 

バンドマンとして心が死ぬ時に、自分に拍手をできるように。

 

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