2024年9月21日
あれは確か中2の夏。
娯楽の少ない地元の街で、俺たちが向かう先はカラオケボックス。
当時のカラオケボックスはまだ今みたいにチェーン店ばかりではなく、個人経営のお店も多く存在していた。
この話に出てくるお店も個人経営、もしかするとまだレーザーディスクだったかもしれない。
同級生の友人とふたり、お店のドアを開けた。少し背伸びをしたい気持ちもあったのだろう。なんだかソワソワして落ち着かない足元を見ながら「一曲目はこれを歌おうか」なんて心の中でクラウチングスタートの体制を取っていた。
時代はカラオケという文化の進化の途中。まだパーティールームなんてものもなくて、5、6人入れば割といっぱいといった部屋がいくつかある作りだった。
しかし色んなニーズに対応できるようにだろう。部屋と部屋が扉で繋がっていた。
普段は鍵がかかっているのだが、その部屋の利用者が自由に開け閉めできるようになっていた。なんとも大らかな時代だ。
自分たちが案内された部屋にも当然扉があり、やはり鍵はこちら側からも開けれるようになっていた。
だからと言って今日は友人とふたりでの利用、扉も鍵も関係ない。
だが数曲友人と歌った頃、異変が起きる。
鍵がかかった扉の向こうから派手にノックされているのだ。
もしかしてこちらのカラオケの音が大き過ぎたのだろうか、苦情だろうかなんだろうか。
このまま無視して通常の入り口から入ってこられるとなんだか分が悪い。こんなに派手なノックを迷いなくできるのは名を馳せたヤンキー以外は考えられない。
戦が始まるのかとドキドキしながらノックをされた扉を開ける。店員さんとかだったらいいのにな…
しかしなんと扉から顔を出したのは…
知らない女性だった!
とりあえず当時の工藤静香のような前髪が気になる。どうやら向こうも二人組のようだ。
「はい?えーっと…」と困惑していると、そのお姉さん達は俺たちに
「一緒に歌おや!」と言ってきた。
これは…アレだ…
逆ナンだーーー!
正直言うとものすごく怖い。逆ナンだとしても何が目的なのかよくわからない。しかし一緒に来てる友人にビビってる事を気づかれてはいけない。
さも慣れてる感じで「ああ、いいっすよ」と迎え入れる。
なんとなくだが、この女性ふたりは年上なんだろう。
この状況で一体何を歌えばいいのかと狼狽していると、お姉さんのひとりが
「じゃあ私歌う!」とリモコンを手にした。
心の準備が必要だったのでこのインターバルはありがたい。
しかしそこでお姉さんが選んだ曲こそ、今回のコラムのタイトルでもある「金太の大冒険」だったのだ!
この曲は知ってる人も多いと思うけど、ものすごい下ネタソング。
昭和じゃなければ発売されてないだろうし、現在の下世話なネット界隈を見渡しても対抗馬はそうそう見つからない。
当時の俺はこの曲の存在を知らなかった。なんか童謡みたいなイントロだったから、子供に見えた俺たちに合わせてくれてるのだろうか?くらいに思ってた。
しかし曲が進むにつれてそんな甘いものではないと気付かされる。
下ネタだ、下ネタだ。とにかく下ネタのオンパレードだ。
一緒に来た友人のあんな微妙は表情はこれまで見たことがない。きっと俺も同じ様な表情だったに違いない。
扉を開けて迎え入れてしまった相手は肉食獣だったのだ。
きっとライオンや虎と同じ檻に入れられたらこんな感じだろう。
これから自分はどうなってしまうんだろう?少しの期待と大きな不安が右往左往している。
結論で言えば、その後特に何もなかった。
きっと肉食獣からしたら我々は何かが足りなかったのだろう。
そしてその後数曲づつ歌い、なんとなく解散に。非常に不思議な時間だった。なんせこちらは中学生、人生とは何かを考えるよりずっと幼い時期だ。
だからその時、思ったんだ。
これは大人になれば理解できることなんだろうと…
そして多くの夜を越えて、今の俺がいる。
当時の淡い自分よ、酸いも甘いも経験してきた大人の俺が答えてやる。
…
全っ然わかんねぇ!
大人になろうがわかんねぇ!
隣の部屋に乱入して一曲目に金太を歌う意味がやっぱりわかんねぇ!
俺がおかしいわけではないよな?金太をぶち込むにしてもとりあえずジャブとしてドリカムあたりを一回挟むのが常道だよな?
ってわけでこれを読んだ皆様
あのお姉さん方の心理がわかる方いますか?
忌憚なきご意見お待ちしております。
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バンドマン / ギタリスト シンガーソングライター / アレンジャー / WEBデザイナー / プロデューサー
SKY MUSIC 代表取締役
OUTPUT-WEB 代表
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