■メジャーとインディーズのイメージ
今でこそ一般的になった「メジャー」と「インディーズ」って言葉ですが、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか?
メジャー = テレビに出てて、顔も名前も知っている人たち
インディーズ = ライブハウスとかでやってる、コアな存在の人たち
なんとなくこんな雰囲気ではないでしょうか?
もっと言えば
メジャー = 売れている
インディーズ = 売れていない
なんてイメージもあるのではないでしょうか?
もちろん、これは違います。
そもそも、メジャーアーティスト、インディーズアーティストなんて言葉自体が変な略語で、正確にはメジャーレーベルの所属アーティスト、インディーズレーベルの所属アーティスト、です。
読んでみるとそりゃそうだろうと思うかもしれませんが、インディーズにも所属していないバンドの事をなんとなくで「インディーズバンド」って呼んではいないでしょうか?
日本で音楽活動をしていく上ではメジャーとインディーズ、その区分けをはっきりと意識しておくべきだと思います。
■メジャーとインディーズの違い
そもそも、メジャーレーベルとは何の事を指しているのでしょう?
世界の一般的な解釈としては、ユニバーサルミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナー・ミュージック・グループの3大レーベルを指し、それ以外のすべてはインディーズレーベルの扱いとなります。
この3グループのみで世界の音楽市場の売上高の70%のシェアを占め、さらに言えばアメリカ市場では実に85%のシェアを誇ります。これはもうメジャーだと言ってしっくりきますね。
しかし、日本の音楽シーンにおいては事情が少し変わります。
日本でのメジャーレーベルとは「日本レコード協会に入会している正会員」のことを言います。
2018年8月の時点での正会員は以下の会社で、その会社の運営しているレーベルがメジャーレーベルと呼ばれているものです。
日本コロムビア株式会社
株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
キングレコード株式会社
株式会社テイチクエンタテインメント
ユニバーサル ミュージック合同会社
日本クラウン株式会社
株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
株式会社ポニーキャニオン
株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
株式会社バップ
株式会社ビーイング
エイベックス・エンタテインメント株式会社
株式会社フォーライフ ミュージックエンタテイメント
株式会社ヤマハミュージックコミュニケーションズ
株式会社ドリーミュージック・
株式会社よしもとミュージックエンタテインメント
株式会社バンダイナムコアーツ
その数18社、これだけでも世界に比べ、日本がいかに独自の音楽シーンを形成しているかがわかります。
メジャーデビューとはつまり、上記18社の運営するレーベルからCDをリリースすることです。(もちろんこれから先、ネットの流れなどで解釈は変化していくと思います)
では日本に置けるインディーズレーベルとはなんでしょう?
この流れで言えば、上記18社の運営しているレーベル以外のすべてのレーベルと言えます。
そして、そこに所属しているバンドやアーティストはすべてインディーズアーティストと呼べるでしょう。
建前としてはこうなるのですが、現場ではまた違う価値観が存在します。
例えばCD屋さんにメジャーレーベルのCDしか並ばないのかと言うと、そうではありません。
インディーズのCDも普通に全国流通してます。
その方法のひとつとしてディストリビューター会社、いわゆる流通会社と販売委託を結ぶってのがあります。
さらに「メジャー流通」と呼ばれる業務委託も存在し、これはレーベルがインディーズであってもメジャーレーベルが販売、営業、流通を担うものです。
また、メジャーレーベルのレーベル内レーベルとして存在しているインディーズレーベルもあります。
なんてややこしい…。
なぜこんなに面倒くさいことになってしまったのか、それはまた別の話で書きますが、この混沌とした販売ルートの系譜が野放しになっているのが、今の日本の音楽シーンの真相だと思います。
さらにここに近年で普及したインターネット勢が加わってきます。えらいこっちゃ。
■アーティストとしての立ち位置
ちなみにこれを書いてる僕はNICOTINE時代にはユニバーサル(UNIVERSAL J)からリリースをし、MUSCLE ATTACKではビーイングが運営しているレーベル(ZAIN)からリリースをしています。
なので僕はメジャーアーティストだ、と言えるわけです。
アーティストとしてギターを弾いてるだけではなく、メジャーの会議室で打ち合わせなんて事も普通にしてます。
さらに、SKY Recordsと言う20年以上続いているインディーズレーベルの運営もしています。
なので、インディーズのCDの流れも知っています。
そして自分のソロのCDやバンド「THE ALT」のCDは流通には乗せず、SKY Rcordsとはまた別のレーベルを立てて完全にインディーズとして活動させてます。
つまり、僕はメジャーレーベル所属アーティストであり、インディーズレーベル所属アーティストでもあるわけです。
今、自分の立場に置いて「メジャーなの?インディーズなの?」って聞かれたら正直なところ
「どっちでもいい」って答えます。
さらに言えば、場合によっては便利な方を答えて使い分けてます。
その程度のものです。
これは決してメジャーをバカにしてるとかそんなつまらない話ではなくて
「メジャーとインディーズは相対関係にあり、お互い得意な分野を持っている」
と思っているからです。
逆に言ってしまえば
「メジャーは偉い、インディーズは偉くない」とまったく思っていません。
■インディーズだからできること
この話の中で伝えたい事は
CDの流通の話にしてもそうですが、メジャーとインディーズは確かに別のものだけど、現場レベルだとそんなに変わらない事も多いよ、って事です。
大きな違いとして、優秀なスタッフがメジャーには多いってのが現実としてありますが…
とにかくインディーズでの活動に制限なんて感じる必要なんてなくて、メジャーに遠慮したり顔色伺ったりしながら活動する必要もないってこと。
あと、「メジャーが正解!」って価値観はコマーシャルやイメージで植え付けられたものであるってこと。
もちろんメジャーで動くお金はインディーズとは比べ物になりません。
しかしこれは販売網が大きいってだけの話で、曲やバンドの価値を決めるものではありません。
ひとつ強気で言えるのは、インディーズにしかできないことがたくさん存在します。
例えばそれはスピードです。
曲が完成してから販売するまでのスピードは、圧倒的にインディーズの方が早いです。
手売りのレベルで言えば、発売するまでの会議も必要なければプロモーションもなく発売できます。
これを利用し、アイデアを加えればメジャーとはまた別の価値を生む事ができます。
なので、メジャーとインディーズ、その両方を利用しながら活動していく。
これがこれからの音楽活動に置いてとても重要になると思っています。